以前にも書いたように、「鍼灸は嗜好品であるべき」が私の意見です。
要するに、治療じゃなくて良いんじゃないの?むしろ治療じゃないほうが良いんじゃないの?と。
もっと「愉しむ」要素だったり、「味わう」要素があったほうが、利用者にとってもメリットがあると思っています。
今回は、より別の視点から綴ってみたいと思います。
治療とは「マイナスをゼロに近づける」こと
そもそも治療って、「修理する」に近いニュアンスを含んでいます。
「治す」と「直す」は読み方が同じですしね。対象が異なるのは言わずもがなですが。
(そして人間の身体は杓子定規では治らない)
つまり、「マイナスをゼロに近づける」ことに他なりません。
痛みや疲れといった「マイナス」を、いかに元の状態である「ゼロ」に近づけられるか。これが治療が行っていることだと表せます。
もっとも、どこからがマイナスで、どこからがプラスなのか、その明確なラインはありません。ただ便宜上、今回は「マイナスからゼロに近づけるのが治療」とさせて頂きます。
ちなみに、「慰安(リラクゼーション)」も基本的にはマイナスからゼロに近づけることだと思うんです。こちらはラインがより不明瞭なんですが(苦笑)
考えてみてほしいのですが、病院の治療然り、揉みほぐし然り、「疲れも痛みもないけど利用したい」という人はあまりいません。
何かしら「負」や「不」を抱えているから利用するんです。
【個人的に】理想の鍼灸は「ゼロからプラスへ向かう」
翻って、鍼灸はどうでしょうか。
もちろん治療目的の鍼灸であれば、マイナスからゼロに近づける作業になります。
ですが個人的には、「ゼロからプラスに向かう」施術でありたいです。
そして、鍼灸はそれが可能だと考えています。なぜなら、鍼灸にはもともと「痛みや病気を予防する」という概念があるからです。
鍼灸を含め、東洋医学には「未病治」という言葉があり、「病気が小さいうちに手を打つ」あるいは「病気になる前に手を打つ」という意味が含まれています。
もしかしたら、鍼灸の本当のポテンシャルって「予防」なのかもしれません。
未病治は堅い(笑)要は「エナジードリンク」ってことでしょ
ただ、これまた個人的にですが、「未病治」という言葉は堅すぎるかなと思っています。
大変に素晴らしいことですし、ぜひこの考えが広まってほしいですが、いかんせん真面目すぎる(笑)
それにまだ現実味がないというか、「ぜひ予防したい!」と喜んで施術を受ける方の顔が、今のところ想像できません。
のっぴきならない事情があるなら別ですが、それは今の時点では西洋医学の役割でしょう。
「予防」というよりも、先程触れたように「(身体の状態的に)ゼロからプラス」を目指すということ、要は「今より元気になる」ということではないでしょうか。
これ、「飲み物」のメタファーでいうと、「エナジードリンク」ってことだと思うんです。
A.風邪や病気などで飲むのは、言うまでもなく薬局で売っている「薬」。
B.疲れている時に飲むのは、タウリンが入っていて滋養強壮に効くやつ(笑)
商品名は伏せますが、たとえば「りぽでー」ですね。
C.これから頑張りたい、大事な場面があるから気合い入れたい時に飲むのが「エナジードリンク」。
たとえば、翼を頂くあれですね。
(余談ですが、エナジードリンクにもタウリンは入っています)
「A」と「B」は、マイナスからゼロに近づける、つまり「治療」と「慰安」に該当します。
「C」は鍼灸というか、個人的に理想としている鍼灸です。
おそらくエナジードリンクは、身体の「負」や「不」がなくても飲みます。ゼロからプラスへ、もっというと「プラスからプラスへ」という目的で飲むと思うんです。
つまり、「負」や「不」があってもなくても、受けたくなって役立つ施術でありたい。
いうなれば、「今より元気になれる鍼灸」。もちろん元気っていうのは筋肉だけでなく「気持ち」を含めてです。
「治す」のと並んで「活力補充」も大切なのでは
元気すぎて困ることは基本的にありません(あるかもしれませんが)。
もちろん身体を不調を「治療する」ことが大切なのは言うまでもありませんが、それと並んで「活力を補充する」ことも大切なのではないでしょうか。
燃え盛る焚き火に、さらに薪をくべるような。
「活力補充」としての鍼灸をこれからも追求したいです。
今回も、誰に向けて書いたのか分からない内容になってしまいましたが(苦笑)。
忘備録として綴りました。
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