施術の際に、「この痛みの原因は何ですか?」と聞かれることが度々ある。
この質問に答えるのは、大変難しいと言わざるを得ない。間違ったことを伝えてしまう可能性があるので、どうしても躊躇してしまう。
痛みを直接引き起こしている原因は見つけにくい
「どういうニュアンスで原因っておっしゃっていますか?」という話になる。
痛みを引き起こしている直接の原因は、例えば筋肉について数ミリの傷かもしれないし、骨が数ミリかけたことかもしれない。そういった、小さな小さな部分が引き金になって痛みを引き起こしている可能性だってある。
そして、こういった原因は触診したりするだけではなかなか見つけられない。(不可能かもしれない)
現実的に、原因正確に見つけようと頑張れば、あっという間に数時間が経ち、実際の治療どころではなくなる。「何のために自宅に伺ったのか」となってしまうだろう。
「利用者さんのため」を考えたら、施術側が頑張って原因を突き止めるより、病院で検査を受けてみたほうが早いという気がする。もっとも、検査しても原因が特定できない腰痛・肩こりが多いのだけれど。
「原因」は分からなくても「要因」はわかる
ただし、痛みの根っこは分からなくても、痛みを引き起こす「要因」は分かる。これがリアルな回答なのかなと。
要因というのは、「悪い姿勢」「寝不足」「疲れ」「乱れた食生活」などだ。限りなく原因に近い要因というべきか。
複数の要因が重なって、痛みが引き起こる。原因は1つでも、要因はいくつかあるのが普通だ。
「原因」と「要因」は、分けて考える必要があるかもしれない。
原因がわからないと治療できないのが西洋医学
ここからが本題。
病院などで行われる西洋医学の場合、原因が分からなければ治療ができない。精密な検査などで原因が特定できなければ「原因不明」となる。
先ほど触れたように、検査では原因が分からない腰痛や肩こりは多く、手の施しようがないのだ。
すると、「原因は見当たりません。様子をみましょう」となってしまう。患者の痛みはそのままだ。
【おそらく】施術することで原因や要因が見えてくるのが東洋医学
対して、私の個人的な感覚になってしまうが、施術することで原因や要因が見えてくるのが鍼灸をはじめとした東洋医学なのだと思う。したがって、西洋医学とは逆ということ。
東洋医学は「病名」を特定するのではなく、凝りや脈や可動範囲など「身体の状態」を診て施術を行う。(ここは解説が難しい)
つまり、鍼やお灸を行い身体の状態が良くなっていき、その結果として最も状態が悪かった部分が残るというか、炙り出される感覚に近い。ということは、原因や要因が分かるのは施術後になるケースが多いのだ。
つくづく人間の身体は不思議で、たとえば腰痛の施術を進めるなかで、腰の痛みが和らいでいく代わりみたいに、首の痛みが気になりだすことがある。文字通り「根本的な要因が浮かび上がってくる」感じ。
ここが鍼灸を始めとした東洋医学の面白い部分で、可能性を感じる部分でもある。
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