実際の臨床(治療)の現場では、さまざま腰痛に出会うものだ。
腰痛が発生する理由は諸説あるとされており、西洋医学のものさしでは「原因不明」となる腰痛が多いそうで。
とはいえ、原因不明であっても患者さんには関係ない。腰の痛みは改善したいわけだ。(事情によってはしなきゃいけない)
であれば、「どうやったら腰痛が早く改善するか」を考えるのは当たり前で。西洋医学ではない鍼灸は、しがらみも少なく、より自由に腰痛改善方法を行えるとも言える。
ということで今回は、腰痛改善のヒントになるであろう話を綴る。
腰が痛いときは「肋骨(アバラ)」にアプローチするのがおすすめ
結論からいうと、腰が痛い時は腰の筋肉に触るより、「肋骨(あばら)」を狙って施術したほうが効果が高いと思う。
「思う」というのは、かなり確信に近いニュアンスね。
肋骨はかご状の骨で、心臓や肺を保護する役割がある。

「肋骨は呼吸と関係している。だから肋骨を緩めるように施術することで、呼吸が楽になり腰痛が改善しやすい」
これも1つあるだろう。でも私が言いたいのはもっとシンプルな話。
肋骨には数多くの筋肉が付着している。「腰方形筋(ようほうけいきん)」「脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)」など、腰痛の際に凝り固まる筋肉も含まれる。
つまり肋骨を狙ってさすったり温めたりすることで、こういった筋肉が効率的に緩みやすくなるよね、というだけの話だ。
肋骨にアプローチするということは、「鍼は筋肉に刺すより「骨に当てたほうが良い」と思う」でも触れたように、筋肉と骨をつなぐ「腱」を緩めたり調整したりすることになる。
すでにご存知かもしれないが、凝り固まった筋肉そのものを揉んでも叩いても、痛みは改善しないことのほうが多い。
もしあなたの腰痛が改善しない場合は、肋骨からアプローチすることが効果的かもしれない。
整体院や接骨院で「肋骨」に触れない理由
肋骨へのアプローチは効果があるんだけど、マッサージ店や整体院、接骨院では触れないことが多い。
なぜだろう?
「肋骨を押してはいけない」「肋骨は筋肉が薄い」ということで、避けられがちだからだ。
特に脇腹近くの「肋軟骨」は、上から圧をかけただけで骨折する可能性がある。だから慎重になる必要がある。
施術者によっては「肋骨には触れない」と割り切るケースもあるだろう。
また肋骨部位は、「触れにくい」部位ともいえる。「なにもやりようがない」と考えるのも自然だろう。
揉みほぐしに大半の時間を費やす、そんな「総マッサージ師化」が進んでいる整体院や接骨院。
揉みほぐしにくい肋骨に触れられなくなるのは必然かもしれない。つまり「盲点」ともいえる。
だからこそ、腰痛の早期改善のために狙ってみる価値があると思うんです。
「肋骨」の上から指でなでるだけで効果あり
鍼灸の場合、肋骨あたりは「刺入の際に注意を要する部位」とされている。肋骨の下には肺があるので、細心の注意が必要になる。
そこで骨の上から鍼を当てる方法が効果的だ。これなら安全かつ、腰痛が早く改善する。
そして、ご自身のセルフケアとして応用するなら、肋骨の上から指でなでるだけで十分だ。先述したように強く押すことは避けるべきだ。
背中側の肋骨を見つけ、指でなでてみてほしい。腰回りがすっと楽になるでしょう。
また、肋骨に指を優しく添えて、軽く運動してみるのも有効だ。

上の画像は「京門(きょうもん)」というツボ。
たとえば、この「京門」を優しくおさえたまま、上半身を捻ってみたり、ゆっくり背伸びをしてみたり。
血液が巡り、腰全体がジワジワ温かくなるだろう。そして腰がすっと軽くなる。
ぜひ試してみてください!
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