仕方ないことですが、鍼施術をまだ受けたことがない方は、鍼に対しネガティブなイメージを持ちがちです。
とくに「痛そう」というイメージは根強いでしょう。腰痛や肩こりに悩んでいたとしても、鍼を試すのにはちょっと躊躇しちゃうとか。
この「痛そう」の中身をより詳しくみると、「音」が浮かび上がってくると思っています。
「ブスっ」とか「チク」とか…?
ここでいう「音」というのは、耳で聴こえるというより、患者さんが皮膚で感じるものだとお考えください。
鍼を刺した瞬間、細いキリのようなものが皮膚を破る「ブスッ」といった音や、蜂がブーンと飛んできて刺したときのような「チク」といった音がすると思っていませんか。
こういったイメージをお持ちなら、鍼施術を敬遠するのも無理はありません。私だって嫌です(笑)
【大切】「注射針」と鍼は全く異なる
昔から思っていたことですが、鍼灸の鍼と予防接種などで実施される「注射針」を混同しているケースが多い。
ぜひ覚えておいて頂きたいのですが、「注射針」と「鍼」は全く異なります。
まず目的が違います。
注射針は薬を注入するために行われるもの。鍼は皮膚内に刺入し血流を良くするためのもの。
目的が違えば形状が異なります。
注射針は太く、中が空洞になっています。対しては鍼は髪の毛ほどの細さです。
注射針と鍼は別物だからこそ、注射で使われるのは「針」で、鍼灸で使用されるのは「鍼」と表記される漢字も使い分けるべきなんですよね。
したがって注射針なら、刺入した瞬間に「ブスッ」とか「チク」とった音を感じるかもしれません。場合によっては「ザクッ」とか。
鍼が痛くない理由のひとつ「鍼管」
ここで、鍼を刺しても痛くない(場合が多い)理由をみていきましょう。
先述のとおり鍼はたいへん細く、しかも先端が独特の形状をしています。だから痛く感じにくいといえます。
とはいえ、鍼を皮膚に刺せば、やはり痛いわけです。
明確な意図があって、鍼を直に持ち刺入する先生もいますが、現在は、こういった刺し方は少ないといえます。
鍼を刺入する際は「鍼管(しんかん)」を用います。
鍼管とは文字通り、鍼を包む管です。
鍼管鍼のはたらきで、をよりスムーズに刺入でき、かつ皮膚の痛覚をコントロールできます。だから鍼を刺しても痛くありません。
やや詳しく記述すると、鍼を刺入する直前に鍼管で皮膚を押すように圧をかけます。
術者からしても不思議なのですが、鍼を刺入しても痛くないんです。
鍼を刺入時の音は「トントン」
では、鍼を刺した瞬間に感じる音はどういったものか?
私個人的には「トントン」が近いと思います。場合によっては「トントントン」。
この「トントン」は、先ほどお話しした「鍼管」を優しく叩いた際の音です。つまり、鍼そのものが皮膚に刺さった音はほとんど無いといっていいでしょう。
部位や使用する鍼にもよりますが、「ブスッ」とか「チク」は少ないとお考えください。
皮膚で感じるものだからこそ「音」が重要
実際のところ、「なぜ鍼が効くか」とか「どういった痛みに効くか」よりも、利用者にしてみたら「鍼を刺した感覚」のほうが大事なのではないでしょうか。鍼が効くのは当たり前で、だから患者に行っているんです。
感覚は、利用者が感じる「受け心地」にもつながります。それは画像だけでは十分に伝わりません。皮膚で感じ取るものだからこそ、「音」って大事だと思うのです。
鍼を刺した際の「トントン」がクセになる、という方もいるようです。
ぜひ鍼施術をご利用される際は、皮膚で感じる「音」にも注意を払ってみてください。
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