鍼灸の楽しみ方

鍼灸は「嗜好品」であるべきだと思う

今回は、私が思っていること・目指していることを綴ろうと思います。

突然ですが、あなたはコーヒーを飲みますか?またはお酒を飲まれますか?
あるいは、タバコを吸いますか?

コーヒーやお酒、タバコは「嗜好品(しこうひん)」というカテゴリーに分類できるそうです。

嗜好品とは「高揚感を得るために摂取される飲食物」を指します。つまり、栄養を補給するのではなく、それ自体が快感・楽しみになるということですね。

これらは「刺激がある」という点も共通しているといえるでしょう。場面によっては、良くないニュアンスとして使われることもありますが(笑)

「痛みを治すこと」にこだわってきたこれまで

鍼灸は、「東洋医学」の1つに分類されます。

一応、病院などで行われている「西洋医学」と対概念になっているといったところでしょうか。

したがって、鍼灸師は学生の頃から「いかに患者の肩こりや腰痛を改善(治療)するか」について勉強します。そして実際に施術現場(臨床)に出てからも、多くの場合、治療技術について学び続けるわけです。

私自身もそうで、鍼灸師になってから「治療」にこだわって施術していました。

これまた、慰安(リラクゼーション)との対概念で、「リラクゼーションはダメ(逃げ)。治療こそ患者さんの役に立つのだ」と信じてやってきて。

鍼灸は治療でなくてもよい(ないほうが良い)

でも……本当にそうだろうか?鍼灸は「治療」のためだけの技術なのだろうか?
現在の法律では、鍼灸は「医療類似行為」になっています。要するに「医療分野だけど医療ではない」というポジションです。ですから鍼灸師の施術は、法律上において「治療ではない」ということ。

でもまぁ、そんなのは法律上の解釈であって、基本的に患者さん(利用者さん)には直接関係ないこと。
ようは悩みが治れば、それが患者さんにとっては「治療」なわけですよね。

それを言いたいんじゃないんです。

そうじゃなくて、「法律上で治療ではないから私も治療だと思わない」とかではなく、もっと別のジャンルのものなのではないかと。鍼灸の魅力はもっと別にあるのではないかと思ったのです。

少なくとも、鍼灸は治療でなくても良いと思う。

かといって、「鍼灸は美容において活用されるべきだ」とか、いかにも底が浅い話でもなく。

鍼灸は身体が喜ぶ「嗜好品」なのではないか

つまり「鍼灸とはなにか」と、本質に近い話になるのですが。

私は、「鍼灸は嗜好品」であると思っています。

つまり、身体が喜ぶものにほかなりません。そう、コーヒーやお酒と近いジャンルだと思う。

コーヒーが「香り」と「刺激」を味わうものであるように、お酒が「のどごし」や「ほろ酔い気分」を味わうものであるように、鍼灸は皮膚や感覚で味わったり愉しんだりするものなのではないか。

もちろん、タバコのように健康を害するものではない。(むしろ身体にとても良い)

鍼灸独特の高揚感や温かさ

例えば鍼を打つと、気分が上がったり、温かさを覚えたりします。

これは「脳内に幸せを感じるホルモンが出る」「血流が良くなる」といった、鍼灸ならではの反応です。

こういった反応を活かして痛みを改善するのが、「通常の鍼灸」です。

ただですね、気分が上がる・温かさを感じる、それ自体を愉しむことはできないだろうかと。

「温泉に浸かる」に近いニュアンス。鍼灸ならではの反応を味わうという愉しみ方です。

施術の意味や理論より「それ自体が愉しい」もの

言い換えると、施術の意味や理論とは別に、「それ自体が愉しいもの」であるべきということです。

「長期間続いた肩の痛みを治すための治療」や、「◯◯式の治療技術」とか、確かに素晴らしいんでしょうが、真面目すぎるんですよね(笑)

それに患者さんの痛みがなくなったら、基本的に治療の出番はありません。その後はメンテナンス目的の施術を続けることが大切なのは事実ですが、進んで受けたい患者さんがどれだけいるか。

私は「治療とは、(できれば)続けたくないもの」と個人的に定義しています。

そうではなくて、痛みがなくなったらお役御免な施術ではなく、「それ自体が愉しい・幸せを感じるもの」という施術でありたいというのが、現在の私の気持ちです。

日々の生活を豊かにする・刺激を与えるものでありたい

私の考えを整理する意味もあって書いてみました。一体、誰に書いているのか分からなくなってしまいましたが(笑)

私は「嗜好品としての鍼灸」を提供していきたいと思っています。もちろん「治療技術としての鍼灸」に確信を持ったうえで、です。鍼灸の治療効果については間違いない!

ですから、「それ自体が愉しいものであるが、治療としても秀逸」が鍼灸の理想なのかな。

私はほんとうの意味で、「治療の場での鍼灸」ではなく、「人々の日常生活の中での鍼灸」を提供したいです。

だから出張訪問という形式にこだわっているという部分もあります。そして、痛みの有無に関係なく、日々の生活を豊かにする・刺激を与える鍼灸施術を磨きたいと思います。

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鍼灸師 藤澤優作

東京都小平市を拠点に出張施術を提供したり、オンラインでセルフケア方法をレクチャーさせて頂いております。このブログでは鍼灸に関する豆知識や施術の様子、肩こり腰痛の改善に役立つ情報を綴ります。 鍼灸師歴13年。格闘技選手・指導者でもあります。

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